----- カフェを作る際の場所選びに拘りはありますか?

街のガイドブックに掲載されるエリアで、しかし人通りが多すぎない。ということです。
人が多すぎてしまうと、本来お店が求めている種類以外のお客様が来店してしまうことになります。そうなるとお店が打ち出したいコンセプトの維持が難しくなります。お客様もお店のムードを構成する要素の一部となるからです。
ですから、当社としては不特定多数のお客様が利用してしまうような駅ビルや、大きな商業施設などに出店依頼がありますが、あえて断ったりしているのです。

----- 2006年を境に宇田川カフェを事業拡大した訳を教えて下さい。

最初に開業した5年後に、もともとの「宇田川カフェ」が入店、営業していたビルが取り壊しになったのです。そして移転する際、出来ることなら縮小することだけは避けたいと考えました。
そしてタイミングよく元の店舗の目の前の現在の物件に巡り合いました。

-----つまり、2006年の事業拡大がきっかけで、事業が急成長なさったのですね。

いいえ。宇田川カフェ開業の2001年の翌年の2002年には、現、宇田川カフェ別館を、さらに2003年にはチェルシーホテル(ライブハウス)を開業しており、その後も少しずつですが毎年コンスタントにお店を増やしています。急成長ではありません。徐々に少しずつ拡大しているのです。

----- 「宇田川カフェ」は、多い時で1日に約600名の来店があり、昨年12月では1500万円の売上高を更新したそうですが、これは渋谷のカフェにおいて良い成績なのでしょうか。

「宇田川カフェ」は120㎡程度のお店です。他社の普通のカフェというのは基準がわかりませんが、周辺の同じような立地条件や広さのカフェに比べれば集客、売上ともに2倍程度の成績になっているのではないでしょうか。

Shanghai Rose 外観

----- 目指している集客数と売上高はどのぐらいですか。

集客数と売上高を基準にして仕事をしているわけではないので現状で良いのではないでしょうか?私が好きな店として存在してくれて、なおかつ事業として成立してくれていればそれで良いのです。

----- Shanghai Roseの業態はカフェですか?バーですか?

1Fはカフェとしても営業します。庭が広いのでテラスカフェとしてです。夜にバーとなるのです。2Fがナイトクラブです。ショーもあります。せっかく2フロア存在しているので2種類の業態に分けたいと思いました。

----- 蜷川さんに内装プロデュースにお願いしたのは有名だからですか。

有名だから仕事を頼んでいるのではなく、蜷川さんのカラフルで妖しいエロティックな色の嗜好性が今回の上海のプロジェクトにジャストであると思ったので頼みました。有名だから仕事を頼むという考えは私にはありません。有名かどうかはどちらでも良いことです。センスのみを信じています。

蜷川実花氏

----- 他社で有名なカメラマンやデザイナーさんを起用した成功例を参考されたのですか。

私にとって有名か無名かというのはわかりません。私はテレビも見ませんし、他の例も知りません。蜷川さんにこの仕事を頼んだのはすでに2年半前で、その後に「ヘルタースケルター」がありましたし、このような色使いが出来るアーティストで他に思い浮かんだのは草間弥生さんくらいですが、2人とも商業施設のデザイナーではありません。
今回の蜷川さんの起用は彼女の写真作品を見ていて思いつきましたが、このようなコンポーザーのようにそれぞれの仕事をする人をうまく起用して仕掛けることが私の仕事だといえるでしょう。